◆お話が前後しますが、男業界の中で、会社の経営上状態が最悪・・・具体的にどうやってこられましたか?
先ず、技術が分からない社長と言うことで馬鹿にされる。改革をしようとしても仕事が忙しいと言っては逃げる。従業員はことごとく言い訳ばかりという状態でした。
そこで、コミュニケーションが必要と感じた私は全体会議を開き「自社の強み・弱み」を洗い出し、強みを伸ばす工夫をしようと提案しました。現場の作業は、指示しようにも分からないので各部署の責任者に任せました。また、私なりに女性ならではの気配りをしようと、従業員たちと昼食会を開いたり、お誕生会をして親睦を図るようにしました。自腹でバレンタインデーには全員にチョコレートを配ったり、クリスマスにも全員にケーキを配ったりして、一歩一歩皆とコミュニケーションをとっていきました。
その陰では、金型について本を読んだり人に聞いたりして勉強しました。経営の勉強については、中小企業家同友会で教えていただきました。そんな一生懸命な私の姿を見て、会社の幹部たちも徐々に協力してくれるようになりました。
◆では、会社の有るべき姿とは、世良さんはどのようにお考えですか?
同族会社はともすれば、公私混同しがちだと思うのですが、世良製作所の場合は祖母が代表取締役をやっていた頃から、儲かれば従業員に還元するという形でやっていました。私は子供のときからそういう経営を見てきたせいか、人を喜ばすことが大好きで、あまり自分の利益を考えないのです。(笑)自家用車にしても私は入社以来一度も会社の経費で買ったことはありません。社員と同じように交通費を貰って自分でガソリン入れて自分のお金で車を買って乗っています。社員と食事に行っても自腹で払います。出費が多くて持ち金の少ない役員なのですよ。(苦笑)でもみんなが楽しければいいじゃないか!くらいに思っています。わたしにとっては過分なお金は必要ありません。自分が生活できるだけあれば良いと思っています。
今お話したように、「会社は公器」と思っています。従業員が安心して働けて、生活できるお金がもらえて、自分のやりがいとなる仕事が出来る場所を提供するのが企業のあるべき姿だと思います。人生の大半を過ごす仕事場の居心地が悪かったり、楽しくなければ、その人の人生までも変えてしまうことになると思いますから大きな責任を感じます。
◆ どうしたら、そのように困難を乗り越えられるのでしょうか?
自分を信じて、できるまで一生懸命がんばるだけです。
私の好きな言葉に「 Do Your Best 」
(貴方の最善を尽くしなさい)があります。
一生懸命になれば、自分の力以上の力(他力・助け)が働き自分でも知らない間に事態が好転していることがあるということをたくさん体験しました。よく「運がいい」といわれることがありますが、決してそれだけではないと思います。どんな時でも明るく前向きに頑張っていれば運も回ってくると信じています。
もう一つ大好きな言葉があります。
それは 「人は宝 夢は力」 です。
身内にあまり恵まれなかった分、多くの友人や周りの人達に助けていただきました。ですから私にとって人は宝物です。そして夢を描き、叶えようとすることが大きな力になると信じています。