◆版下作業からデジタルにかわっていったデザイン業界で金田さんのお仕事はどのように対応していかれましたか?
正直ラッキーでした。もともとコンピュータで仕事をしていたので、版下作業という手間のかかる仕事がデジタル作業で一変するわけです。また、版下作業という仕事も大切なノウハウですから両方分かるということはある意味幸せなことだと思いました。ただ、デザイン業界はMACという機種がメインでソフトも特別でしたからそれを使いこなすにはかなり苦労しました。
◆事業の内容とポリシーは?
本業は広告デザインです。主にグラフィックデザインです。それと現在進行形のコミュニケーション絵本の企画・制作です。
ポリシーはお互いの顔が見えるお仕事です。とにかくクライアントさんの話を直接お聞きして「こだわり」を見つけ、それを形にしてさしあげたいと思っています。
◆実用新案をとられた「コミュニケーション絵本」をつくられたきっかけは?
叔父が舌癌でした。話したいことがたくさんあるのになかなか言葉にできず、なんとか会話ができないものかとみんなで悩みました。筆談もすでに難しい状態でしたので、A3サイズの大きな「あいうえおボード」を作りました。看護婦さんも手作りで、体の絵に痛いとか痒いなどのメッセージを書いたボードを作ってくれました。なるほどと思いました。叔父は指で文字を指そうとしましたが、もうその元気もなく亡くなってしまいました。もう少し早く作ってあげてればと後悔しました。その後、同じコミュニケーション障害を持ち悩んでいる方がたくさんおられることを知りました。声が出なくても、簡単に意志を伝えられる方法はないだろうか?自分にできることはないだろうか?という気づきから、この
「コミュニケーション絵本」をつくりました。
◆例えばどのように使うのでしょうか?
この絵本は、病気や何らかの障害で、会話や意志表示がうまくできない方のための意志伝達用ツールです。日常生活で必要な言葉を会話のテーマ毎に頁分けして、イラストと単語を指さすことでメッセージを伝えることのできる絵本です。難しくて高価なデジタル商品に頼ることなく、子供からお年寄りまでだれでもすぐ使うことができます。特殊な紙に加工を施し、ペンで自由に書き込みができ、さらにお風呂でも使えるというような様々な工夫を加えています。実用新案も取得しています。