◆御社の強みは何でしょうか?
「お客様の幸せ作りに貢献する」というのが、当社の社是です。これは、安心で安全な家づくりということです。
大半が設計施工です。たまには、設計会社の仕事もさせていただきます。例えば、2005年の新建築の8月号に載っている デザイナーズマンションのような建築です。
このような感覚は自社ではなかなか生まれてきません。こういう建築に係わることで、技術の習得もさることながら、アイディアや感覚など学ぶことが大変多くあります。ある著名な建築家の仕事をしたときには、2〜3ミリの誤差も許されないような家の建築でした。
こういう仕事をすることは、当社の現場監督の自信につながり、新しい知識を習得する機会となるのです。収益性は苦労させられた仕事でしたね。こういう建築物を作るプロセスはかなり大変です。完成図(結果)から逆算して、プロセス図(施工図)を作ります。その施工図に基づいて現場での仕事が始まるのです。設計図では表現しきれないものを理解して翻訳して現場に流し込んでいく工程が、建築会社の技なのです。
社員には、「結果としてこんな風にできちゃったというものは、絶対につくっちゃいけない。ああしてこうして、だからこうなったと、理論で裏づけされたものを作れ」と言っています。合格点はお客様から「思ったより良くできた」と言っていただくことです。精度の高い施工計画や施工図を作ることで、職人の高度な技が生かされるのです。施工をするためには、技術的なことはもちろんですが、相手の身になって考えられる要素が大切です。
社員を採用する時には、自我を持っていることと、相手の立場になって考えることができる人間かどうかを見ています。当社は定期採用をしています。社風を作るためには、定期の採用が大切で、それによって、先輩が後輩を指導する社風が育っていきますね。
◆緻密さが要求されるお仕事なのですね。
設計と施工の確実さが当社の財産だと思い、ずいぶん前から追及していました。社内で技術者を育てていくということは時間のかかることですが、がんばっていきたいと思っています。お客様から「思ったより良くできた」と言っていただける理由を作りだすことは、結構大変です。でもそうした、物の造りへのこだわりが好きなんですよ。
◆ご家族についてお伺いします。
子供は3人いまして、長男とは、彼が高校2年のときに取っ組み合いの殴り合いをしたことがあります。最後は私が息子の上に馬乗りになって・・・息子も父親の立場を考えてくれたのでしょう。(笑)
その息子は、今は祖父の後を継いで、区議の仕事をしています。次男は私と長男との関係を見ていたので、反発して来ませんでしたね。(笑)
今は、次男と長女が会社を手伝っています。外部の人に会社を継がせてもいいとは思っていましたが、仕事柄、億単位の借り入れをすることもあり、社長はそれを個人補償しなければいけないから、万が一の場合は自分が裸になっちゃうわけです。だから、他人に会社を任せるのは、能力だけでは難しいところもあります。次男が良い経営者として育っていってくれることを期待しています。
◆大好きな言葉または座右の銘は?
「天地人」天のとき、地の利、人の和です。
そういえば、2009年のNHKの大河ドラマは、上杉景勝に仕えた上杉家の家老・直江兼続を描いた火坂雅志の小説「天地人」ですね。(笑)
◆10年後の夢は何でしょうか?
「晴耕雨読」もいいですね。ものを作るのは好きですし、読書も好きですから・・・
でも今はまだ、10年後を考えるゆとりが無くて、「自分」を考えることはあとまわしになってしまいますね。(笑)
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