◆経営のナンバー2として、心がけていることは?
社長は私がしたいことにはあまり何も言わず、好きにやらせてもらっています。たまにもめることもありますが、殆ど部下がらみ教育のことですね。社長の意見も尊重しますが、部下を育ててきたのは私ですから、妥協しないこともあります。「これはだれがやったのだ」と責めることは間違っていると思います。なるべくしてなったことであり、その原因を見つけ出し、その負荷を減らしてあげることが大切だと考えます。あるお取引先の方から、「できないことはできない環境があるからで、できる環境にするために、管理職がもっと努力するべきでないでしょうか」と言われました。たしかに、できない環境をつくっておいて、なんでやらないんだと言うことではなく、誰にでもできる環境づくりがとれているかどうかということです。でもこういう問題は中小企業のどこにでもあることだとは思います。
たとえば、何で掃除をキチンとやれないか、それは掃除しづらいからです。毎日掃除のしやすい環境ってどうしたらいいのだろうかと、管理職がもっと頭を使って考えてあげなければいけないのに、それができていない。そういう管理職に育てていないのは、私たちの経営者責任です。私にとっての経営とは、「人育て」その一言に尽きます。
◆経営上のターニングポイントはありましたか?
当社は、経営理念もそれなりのものを持っていました。でも私が真剣に「企業とは?」と考えたのは、中小企業家同友会という経営者の勉強会で経営理念成文化セミナーに参加したことです。その時は、会社の経営が一番苦しかった時でした。それまでも経営者の体験を聞くセミナーなどにはよく参加していたのですが、それとは違って、優良企業といわれる会社の経営者の方々と直接お話をすることができ、悩みを聞いてもらったりしていく中で、様々な気づきがありました。いい企業はどんな経営をしているのかをつぶさに聞くことにより、自分の企業はなるべくして今の状態にあるのだということが理解できました。従業員の教育、マーケティング、誰にでも数字が見える状態にと改善していかなければならないものが見えてきました。このセミナーに参加している人たちは、それぞれが持っている情報をきれいにオープンにしてくれるのです。再度、当社の社員たちと共に経営理念を真剣に考え、今の社員と共有した経営理念があります。このセミナーがわたしのとっての、経営上のターニングポイントであったように思います。
うちの会社がなんのためにあるのかなあと考えてみると、年商30億円をずっと続けてきていますが、お客様に継続させてもらっていると言うことは、存在価値があると思います。ここ1年くらい、従業員に、1個150円の商品を30億円売らせていただいて、60年継続している会社は企業価値があるじゃないと言えるようになりました。
◆栗田さんの思い(夢)はなんでしょうか?
当社は2008年9月で創業60年になります。従業員が笑顔で働ける、継続できる良い企業として、子どもに承継したいと思っています。そのために、今あるものの流れを整理して見えるような形にしてあげたいと思っています。
個人的には、ここ2年くらい声をかけてくれたことにはなるべき参加することにしています。以前はすべてノーと言っていたのですが、ご縁があってお話が来るのだから、頑張ってみましょうという気持ちになりました。そうすることでおのずから道は開けるのかな、私がやるべきことがみえてくるのかなと思っています。
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