◆株式会社コサイン社を設立されるようになった経過は?
7年間の職業訓練指導員(木工科)を経過した中で、常に成長を目指していましたし、自分に相応しいことは何であるかを考えておりました。 そんな時に、11年間お世話になったメーカーの社長より家具作りをしないかのお誘いを受け、踏み切りました。
会社を退職した後もその社長には公私共に面倒を見ていただき、常に経営者としての考え方を学んで来ました。そのような中での選択でした。しかし今でも妻には「わたしには何の相談も無く決めたよね」と言われています。(笑)自分には職業訓練指導員としてヒトづくりもとても意義のある仕事でしたが、モノづくりの方があっているように感じられたから決断しました。
木材の集散地でもある旭川で生産される家具には、百年も二百年もかかって大きくなった、上質な木ばかりが使われています。ところが家具をつくるときには、どう上手に使っても‘端材'が出てしまうのです。きれいな木目やなめらかな手触りが、一部とはいえ捨てられてしまうのはとても残念で、当社はそのそんな「もったいない」木の短材を何とかしたいというコンセプトで生まれました。
創業20年目になり、今は短材端材のみですべての製品をつくっているわけではありませんが、木を大事にして、その魅力を暮らしの中に生かそうという気持ちは変わっていません。
◆星さんのもっとも大切にしていることは何でしょうか?
「ヒト・モノ・カネ」でしょうか
ヒト=出会い、感動、感謝、感激、貢献
モノ=製品、資源
カネ=適正、コスト、感謝、豊かさ
ここまでやってこられたのは、たくさんの人との出会いであり、家具作りという仕事との出会いでもあります。それを通して人生の豊かさと喜びを感じることができました。そういう意味で、「ヒト・モノ・カネ」だと思っています。
◆cosine(コサイン)という社名の由来は?
社名のコサインは、旭川在住のクラフト作家丹野則雄さんが名付け親です。 スペルは皆さんご存知の数学で用いられるサイン、コサイン、タンジェントのコサインと同じスペルです。 これをコサインでは「co」+「sine」の組み合わせからなっています。
「co」は、英語で「共に」を意味し、「sine」はドイツ語で「存在する」を意味します。 「cosine」とは「共に存在する」と言う想いを大切にするメーカーになりたいと付けられました。
◆素敵なお名前ですね。コサインさんの家具作りのコンセプトは?
当社が使っている素材は、白い肌が美しく清潔感あるメープル(かえで)、野生味ある表情を見せるナラ、深い色が大人っぽいウオルナット(くるみ)などです。自然素材である木は、たとえ樹種が同じであっても人間と同じように、1本1本表情が違います。仕入れた木材を見ながら、どの製品のどこに使うか考え、できるだけ、無駄が出ないような材料の取り方をしていきます。塗装は木の呼吸を妨げないオイル仕上げが中心で、さらりとしたナチュラルな感触を大切にしています。
また、コサインの提案する子ども家具もあります。それは、「インテリア」の部分を良質でシンプルなデザインにするだけで、おもちゃや衣類がちらかっていても、ちゃんとセンスよく見せてくれます。何より、感性の豊かな幼い時期に、まずは椅子一脚からでも上質な木の家具にふれさせてあげていただきたいと思っています。
◆会社は誰のためにあるとお考えですか?
お客様のためにあると思います。 お客様に潤いある生活をサポートする製品を作り、お客様にコサイン製品を求めていただき、その対価でわたし達は生活を営んでいます。それが無ければ社会にコサインが存在する必要はありませんよね。