【桜井】
濱本先生は、大変いろいろなご職業を経験されていらっしゃいますが、それはどのような経過だったのですか?
大学卒業後、「接客業につきたい」と考え、ジャスコへ。しかし、根性が無いもので、牛乳を運ぶ肉体労働に耐えきれず、1年で退職。その後、体で働くのはやめて頭脳労働にシフトしようと学習塾講師になりました。あるとき、子供や主婦ばかりと接していて、いつの間にか「生徒のお父さんと話すのが怖くなっている」自分に気がつき、このままではいかんと学習塾を退職。ある専門分野に特化した出版社に入社しました。しかし、給料が安く、家族を養えなかったので1年でやめ、今度は部分ではなく、企業経営全体が見られる仕事に就こうと、 31 歳のときに小さな経営コンサルタント会社に入社しました。その後、会社を移ったり、独立したりしたものの、 14 年間、この職種で通しています。転職を繰り返したことは、経営コンサルタントの仕事に役立っています。
◆ 5 月に新会社法が施行され、ますます起業しやすい環境になってきたようにも思われますが、これから起業しようという人へのアドバイスをお願いします。
「戦争が上手な将軍は、まず机上のプランで勝ってから、その後に戦争を始める」と孫子は言いましたが、これから起業する方にもピッタリ当てはまる言葉だと思います。プランの中でもっとも重要なのは、マーケティングプランです。残念ながら、あちこちで行われている「事業計画策定研修」では、ほとんどマーケティングプランは扱われていません。中小企業診断士の先生方でも、本当に分かっている人はごく少ないからでしょう。見込客を集め、顧客にしていくまでの流れをしっかりと机上で作ってから、起業していただきたいと思います。
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会社を継続し発展させていくために必要な事は?
一番大事なのは、基本戦略をしっかりと考えて、「決心」することです。といっても、企業家の場合、会社の戦略はほとんどご自分の人生戦略と一致するはずですから、人生の方向性をしっかりと見据えることですね。「あなたの人生の目的は何ですか」と言われて答えられない経営者はダメです。
戦略には、戦略目的「何のために私たちの貴重な人生の時間をかけて戦うのか」と戦略目標「いつまでにどのようなことを達成しなければならないのか」があります。この2つを明確にして、胸に刻むことが必要です。あとのことはすべて、戦略との整合性を図りながら決めていけばよいということになります。
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