◆ では、その危機的状況をどうしたらよいのでしょうか?
地方にも、熱心にものづくりや技術開発に磨きをかけている小さな会社や生産者が沢山います。ただ、そういう方たちは、どうやってユーザーにその「商品価値」を届けるかを知りません。地方は、モノづくりのプロだという自信と誇りを持つべきなのです。
私は、東京のような大都市は「生活地=消費地」と考えます。生活地で何が必要とされるかを知り、生産者(地方)は、自分の持っている強みを自覚しそれに磨きをかけ、その強みを生活者に認知させる行動が大事です。
それには、「どうやって情報発信するか」が重要になってきますね。 それが「コト=行動」です。「コトづくり=発信すること」をする必要があります。
◆ 「コトづくり=発信すること」とは?
「日本一の村づくり」とマスコミなどで紹介された福島県泉崎村のことをお話しましょう。バブル時、自治体開発の『泉崎ニュータウン』は完売し、その勢いで新たに『天王台ニュータウン』を開発しました。ところが、バブルが崩壊し、泉崎村の財政は危機的状況に陥っていました。現在の村長と1人の職員さんが真剣に取り組みました。
私はまずはこの泉崎村がどんなに良い所かを認知してもらうことが必要と考え、インターネットで村民を募集する提案をしました。 「
わっはっは!泉崎村」 という HP です。(笑)
なんと 2,000 人以上の登録があります。 その人たちに、「 e- 村民認定証」を発行しました。バーチャルをリアルにする仕掛けとして、「 e- 村民交流会」を企画しました。現地の人とふれあい、自分の目で見た泉崎村の良さを満喫してもらうことで、泉崎村を大好きになってもらうことです。地元の人たちとの交流が生まれれば、安心して住むことができます。都会から『天王台ニュータウン』に移り住む人が増えていきました。 今でも村挙げて首都圏での PR 活動を継続的に展開しています。
◆ 確かNHKなどのニュースで見た記憶があります。
この取り組みは、ローカルメディアから東京のメディアそして全国へと広がり、一躍泉崎村は有名になりました。しかし、マスコミの力は一過性です。大切なのはそれから・・・なんですよ。まだ、泉崎村を地域ブランドにするまでにはなっていません。残念です。
いいモノをいいコトとつなぎ続けていくことが大切なのです。まだまだ、自治体も、中小企業も、生産者たちも、自分の強みに気づいていません。自分たちが持っているいいものを一度見直してほしいです。そしてそのいいものを発信し、しっかりコミュニケーションをとれば、新しいコミュニティがうまれます。コミュニティにまで持っていくことが大切なのです。