◆教師をおやめになったのはどうしてですか?
楽器の取り組みが面白くて 毎日朝から晩までそれだけをやりたかったからです。
教師を定年まで務め上げてから趣味の延長でやるという選択肢もありました。それは 経済的なことを考えると魅力的な選択肢だったのですが、わたしは退職を選びました。もちろん毎日の生活費を稼ぐという課題には辞めた次の日から直面しました。そこで、持っていた貯金でどこまでやれるかを計算しました。立ち上げの時期に収入は当分あてにできません。機材を買って場所を整えて、食生活を昭和30年代に戻せば1年半は十分にやれる。その間に収入のメドを立てるという計画を立てました。
ところが、実際に場所を作って再度予算計画を見直したら、光熱費が含まれていないことに気付きました。あわてて再計算をしたら食生活は鎌倉時代くらいまで戻さないとやってゆけない事がわかりました。それまで気晴らしにやっていた魚釣りや山菜取りにいきなり真剣味が出ました。何しろ生活の糧ですから・・・この生活はとても面白かったです。(笑)
妻は絵とフラワーアレンジメント・ガーデニングをやっています。同じ「遊びの世界」・・・例えば美しいものを作って喜んだり きれいな花を庭で育てて楽しんだりする世界にいますから、曲作りや楽器作りには何が必要かをわかってくれます。その理解がなければとてもこの生活は出来なかったでしょう。妻のおかげでこの取り組みができています。
素直に感謝!(笑顔)
◆手作り楽器とはどんな楽器でしょうか?
楽器はバイオリンやビオラやチェロ、コントラバスなどのように弦を弓で弾いて鳴らす弦楽器フォーボーと指などで弦を弾いて音を出す箱ハープとに分かれます。
フォーボゥ(Forbow)とは木と音の会が考案した3弦のフィドルの総称です。forest(森)と、born(生まれる)と、この楽器の特徴の一つである弓(bow)を使うことなどの意味をこめた楽器名です。バイオリンやチェロなどの弦は4本なのですが、木と音の会の楽器の弦は3本が標準になっています。弦楽器にはじめて触れる人でも、やさしく弾けるようにするためです。 従来の弦楽器よりも音が柔らかく初心者でも音が出しやすいのが特徴です。比較的短時間で音を育てていく楽しみを味わうことができます。 憧れてはいるけれど今から弦楽器は難しすぎて無理、とあきらめていた方にはお勧めです。
箱ハープとは、文字通り箱型のハープです。柔らかく、暖かな音色は弾きながら心が癒されます。 弾くだけで、簡単に音が出るので子供からお年寄りまでやさしく弾きこなすことができます。少ない練習量でもすぐに演奏や合奏を楽しみたい方にはうってつけの楽器です。 また、何人かで合奏するととても美しいハーモニーが生まれます。 音の高さで3タイプに分かれ、弦の数は15本です。
この楽器の一番の特徴は「生活の中で楽しめる」楽器だということです。楽器は弾きやすくてやさしい音が出ます。そして弾きこなすための長い基礎練習を必要としません。たとえばハープは半日も練習すれば簡単な二重奏が弾けるようになります。もちろん練習を重ねればステージでの演奏も充分出来ます。
この楽器のもうひとつの特徴は演奏時のパフォーマンスに優れていることです。たとえば誕生日などのちょっとした集まりでも気楽に持ち出して演奏が楽しめます。そして簡単なメロディーもこの楽器で弾くと、とても素敵な世界を作れるのですよ。
音は室内で最も美しく響くように作ってあります。生活の中のスペースや小ホール等の比較的小さな場所での演奏に適しています。楽器にはサウンドホール(バイオリンやギターの表にあいている穴のこと)を自分でデザインするオプションがついています。多くの方がこのオプションを使って自分だけのオリジナル楽器を作っています。また楽器本体をデザインすることも出来ます。
このようにすると楽器の音が自分だけのオリジナルになります。自分だけの音で演奏に参加する楽しみを味わえます。またいくつかのモデルではキットによる自作も可能です。世界でたった一つの自分の楽器!いいでしょう。
◆楽器に縁のない私にとっては夢のような楽器です。そんな人にでも大丈夫なのでしょうか?
現在この楽器を楽しんでいる方の約7割は音楽を大人になって始めた方です。半数以上が楽譜にカナをふって演奏していますがとても良い演奏をします。カナをふっている人の中には「カナーズ」という名のグループを組んでいる人もいます。(笑)
手作り楽器に触れていただける機会として、2回コースの『入門レッスン』をご用意しています。桜井さんも気軽に参加してみてください。