◆ご主人様は、文学座の監督をされている望月純さんでいらっしゃいますね。ご一緒に去年までニューヨーク に行かれていらっしゃったとお聞きしていますが。
夫が文化庁の新進芸術家海外研修制度で渡米することになり、せっかくニューヨークに行くのだから何かに挑戦しようと思い立ったとき、大正大学がシートンホール大学で研究員のポストがあると紹介してくれたのです。
大学では日本語教育における俳句を用いた場合の有用性というテーマで研究、非常勤講師をするになりました。ちなみに、夫のビザを
利用した「妻」という立場ではアメリカでの活動に制限があるので私は個人のビザを取得しました。夫婦って二人で一つだけれど、お互いが個としてしっかり立っていないと、何かあったときに助け合えないと思うのです。
◆アメリカで俳句の勉強ですか?
アメリカでは小学校の時から俳句の勉強をします。英語では単語を音節で区切って575を数えます。ひらがなを575と数える日本の俳句よりも文章が多少長くなります。
私たちが俳句に挑戦する時もそうですが、日頃使っている語彙の中
から、ふさわしい言葉を見つけ出して575で表現しますよね?日本語など外国語を学ぶ場合は、使用頻度、習得度の高い言葉が575という短い文章の中に選出されてくるのではないだろうかと思ったのです。それらは覚えやすかったり、興味があったり、親しみやすい言葉である可能性が高いのではないかと。コミュニケーションの上でも、理解度が高い言葉で説明することは大切なので、それを調べてみたいと思ったのです。
同大学で1年半ほど教えさせていただいた中で、コロンビア大学とご縁ができました。コロンビア大学では美しい日本語の発音、発声法や、情報収集のコツをゲームで覚える会話表現の特別講義をさせていただきました。
◆アメリカでの生活はいかがでしたか?
ニューヨークに生きる女性たちと出会い数々の貴重な言葉をいただきました。
「智恵、マチュアーな女になりなさい。人に気を使いすぎることで、人が気を使わせていることに気づきなさい。そして、マチュアーな女はひとりで生きていける女、それは寂しさを自分で消化できる女、そんな女になりなさい」と。
また「あなたは何かを始める前に準備をたくさんしすぎるわね。それは悪いことではないけれど、その時に何かに対応できる力さえあれば、できないといって何も始めないことよりはずっとずっと進歩的。だから普段のトレーニングはその時が来たときの為にあるのだと思って努力してごらん」と。
ニューヨークでの2年間は私を成長させてくれました。本当に素晴らしい方々から沢山いただくことばかりですが、今後はこの素晴らしい方々からいただいたものを私の体を通してお伝えしていけたらと思っています。
◆7月にご出産を控えていらっしゃいますね。
待ちに待っていました。母になれるという喜びと同時に、私の母が私をどんな気持ちで育ててくれたのかが少し見えてきたように感じます。
私が人生を選択していけたように、子どもにもその機会を与えてあげることが出来ればとおもっています。私の考えを押し付けるのではなく、子どもの考えも尊重できる母親になりたいですね。そういっておかないと、愛情を押し付けそうで心配なのです。
「可愛い、可愛い」とあまりかまいすぎないように・・・って思っています。(笑)
◆ご主人も来年大きな仕事を控えていらっしゃるそうですね。
「ダウト」という2005年度のピュリッツァー賞、トニー賞を受賞したブロードウェイ作品の上演権を取得して、その準備で大変なようです。
私はこの夏の間だけでも出産・育児とゆったりとした時間を持ちたいと思っていますが、傍らで忙しくされるとつい触発されてしまい、仕事の虫がごそごそと動き出すかもしれませんね。(笑)
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