◆会社の危機はありましたか?
会社の危機の前に、私自身の危機がありました。(笑)平成11年(1999年)のことです当時横浜の自宅を他の会社の社宅に賃貸に出し、通勤に便利な江東区大島にマンションを買いそちらに移っていました。運送屋の悪友が、スナックのママに熱を上げまして、一緒に飲みにいこうと誘われました。そこにいたのが今の妻です。人を好きになるということはどうしようもないことですね。理性が感情に負けてしまったのです。家族には悪いことをしてしまったと思います。前の妻には僕が持っていた財産を全て渡しました。私に残ったのは会社だけになりました。55歳で「ゼロ」からのスタートとなりました。(苦笑)
この平成11年は会社の業績も悪くなりはじめた時期で、どうにかしなければいけない、変わらなければいけないと考え出した時でもありました。それまでは同業種の中での経営しか見てきていませんでしたので、自分が変わるにはもっと広い世界を知る必要があると思いました。台東区のプラザ91という異業種交流会を始めいくつかの勉強会に参加することにより、社長とは、会社とはということをあらためて考えるきっかけとなり、心を許せる経営者仲間と出会うこともできました。
◆御社の経営理念は?
中でも中小企業家同友会の勉強会に参加している会社は皆経営理念や経営計画を持っていました。それまでの私は、経営理念など必要だと感じておりませんでしたし、それがなくてもなんとかやってこられました。人間落ち込んだ時にこそ見えてくるものがあるのですね。なんとかしなくてはいけないという一念で勉強会に出続け、経営理念・経営方針 経営計画を作り、3ヵ月後の11月に社員や専属外注の技術者20数名を集めて発表しました。そこで、僕は「どういう思いで経営理念を作ったのか。何のために会社を経営しているのか。会社の目指す方向は。会社の今の実態は」ということについてはじめてじっくりと話しました。それまで社員たちは自分の仕事で精一杯でしたので、会社に対する危機感がありませんでした。この会社は誰のものでもない、みんなのものだという帰属意識と責任感を持ってもらうことが、危機を乗り切る力だと考え、毎年この『経営指針の発表会』を続けています。そして自分の思いを繰り返し発言することで浸透していると思います。
当社の経営理念は、「私たちは技術の創造により、人間性の向上、品質の向上、利益の向上を目指し、全員参加の経営を図り、社員・協力業者のレベルを上げ、顧客の信頼を得ることで、社会に貢献します」です。
◆ご趣味は?
ゴルフ、旅行、読書、芝居?見物、勉強会 好奇心旺盛でいろいろあります。僕は美しい景色を見ると感動します。海を見て育ったせいか、山が大好きです。スイスに旅行した時のホテルの窓から見たマッターホルンの刻々と変わっていく姿には感動しました。一度行ったところにはもう行きたくありません。一度行けばいいのです。(笑)同じところに何度も行く人もいますが、僕はなんかもっといい所はないだろうかと思ってしまうんです。でもマッターホルンはもう一度行ってみたいですね。以前はカメラに凝っていました、大学の先輩とよく撮影旅行にでかけましたが、最近はカメラも家に置きっぱなしになってしまいました。(笑)
最近の趣味は「お芝居」ですね。去年の秋にやったお芝居、はじめての経験でしたが、表現力やコミュニケーション力は経営者としても大変役に立ちました。これからも楽しみながら続けていこうと思っています。
◆10年後の夢は何でしょうか?
私は日本の高度成長時代の申し子で、同級生は殆どリタイヤしていますが、私は働けるうちは働いたほうが良いと思っています。それに、妻が私より19歳も若いので、責任もありますし。(笑)そのうち世界一周の船旅でもしましょうか。
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