◆アクアさんの事業についてお伺いします。
事業内容としては、TVCF等広告プレゼンテーション用絵コンテ制作、イラストレーション制作、新聞、雑誌、ポスター、カタログ等のグラフィックデザイン制作、2D・3DCGアニメーション制作、オリジナルキャラクターの開発及び版権管理等をしています。
絵コンテとは、広告を制作する側が、広告主やスタッフにそのイメージやアイデアを伝える為にビジュアル化したものです。プレゼンテーション絵コンテとは、依頼を受けた代理店さんを勝たせるためのイラストです。縁の下の力持ち的仕事です。そのままイラストレーションとしてテレビCMに使われることもありますが、絵コンテということでは日の目を見ることはありません。ですが、広告代理店さんから見ると勝てる絵コンテの提供をし続けてきたということが、今に繋がる一つの要因ではないかと思っております。ですから、この20年近くの間、大手広告代理店さんには大きく貢献してきたとの自負もあります。
当社の大きな特徴となっている、「アクア式」というコア・コンピタンスがあります。年間3000〜5000案件のイラストを描きます。首都圏で流れているCMの3分の1くらいは当社がかかわっています。なぜこのような大量の仕事をこなせるかといいますと、分業制をとっているからです。この分業制により、均一で質の高い作品を提供することができます。これを、当社では「アクア式」といっています。この「アクア式」に加えて、「プロジェクト・マネジメント力」=営業力で、広告代理店、制作会社、出版社等からお仕事をいただいています。
◆アクアさんは、素晴らしい経営理念と行動指針をお持ちですね。
私は文字通りたたき上げで、山賊の頭領みたいに、私自ら一人一人にこまごまと指示をしながら山々を駆け回わるというやり方で経営をやってきました。数年前、社員が20名くらいになった時に、「社長、小大名になりましょうよ」とある幹部から言われました。よくよく考えると、社員は、自分たちを信じて、私に御簾の向こうから「良きに計らえ」といってもらいたかったわけです。この言葉をきっかけとして、経営セミナーに参加するようになり、本当に長い時間がかかりましたが、経営理念を作り上げました。これにより、アクアはどこに、何のために、どんな姿勢で向かっていくのかが明確になりました。同時に行動指針も作りました。これは、私の経験から本当に重要だと思ったことで、社員みんなに身に付けてもらいたいと思っていることです。
経営理念をご紹介します。
私たちは様々な表現媒体を通して、人々に「夢」と「感動」をお届けします。
- プロ意識を常に持ち、自ら人生を切り拓くことを誇りとします。
- 幸福で充実した人生を歩んでいくために、人々のお役に立つことを自らの喜びとします。
- より拡く・より深く社会に貢献し、感謝する、人と企業であり続けることを誓います。
社員が、人として成長し、結果を出せる営業・制作になる為の心得として、アクア社員10の行動指針もつくりました。
最近、経営コンサルタントの先生から、「新しく会社に入ってくる人は、その会社の歴史を知らない。新しく入った当人はこれからの自分の人生が会社と共に、どうなっていくか知りたいわけです。ですが、これから未来の会社の目標も大事だが、創業者をはじめ、先輩社員たちの苦労があったからこそ、今の自分があることを知らなければならない。「ここまで費やされてきた時間や思いを、歴史とともに伝えていく義務がある」と言われました。我々中小企業は、人材育成と採用には大変苦労しています。そういった中で、経営者が自分の人生を赤裸々に語るということは、大変重要な意味があるのだということを、その先生から気づかせていただきました。そこで、当社の経営理念、行動指針を4つ折りにして名刺サイズにしたものと、アクアを創業してからこれまでを簡単にまとめた「原田弘良の感謝の理由−AQUA STORY」というA5版の冊子にしました。社長が自分の過去を語ることで、社員との距離がずいぶんと近くなったように感じます。
◆経営理念に「夢」と「感動」をお届けとありますが、どんな瞬間でしょうか?
今の仕事でいえば、広告代理店のCDの方をはじめ、10人ぐらいのお客さんを前にして、上がった絵コンテを披露しながら納品するときがあります。その時に、居合わせた人たちの間で「オオ〜〜!」という声が上がる時が、メチャクチャウレシイ瞬間です。「ヤッター!」「やっててヨカッター!」と思います。お客さんを「感動」させることができた、ということです。この仕事の素晴らしさを実感するときです。
◆これからの事業展開は?
アクアという社名は、もともと最初に「ア」の付く名前ということでつけただけで、深い意味はありませんでした。しかし、今は、感動という商品を生む大いなる水、海ではないかと思っています。アクアの目指す海は、ブルーオーシャン=競合の無い世界です。アクアの企業としてのあり方として、後ろ指を指されるような仕事はしないと決めています。例えていえば、独身OLが仕事に疲れて、一人暮らしの部屋に帰ってきたときに、当社のイラストやCMを見て「よし明日も頑張ろう!」という気持ちにさせるような、そんな仕事をしようと社員たちとよく話しています。
事業の展開としては、今まではB to Bの仕事が多かったのですが、これからはB to Cの仕事も多くやっていこうと思っています。マンガのカラー化をして携帯で配信、アバターの制作など、最先端の事業を大手会社からの依頼ですでに取り組んでいますが、こういったものを、B to C事業として展開していくことを考えています。
これからの夢ということですが、目標として、3年以内で売上10億円を達成し、自社ビルを持つこと、その後数年で30億円の売上にする、という気持ちでやっています。私の人生は、これまでいつも崖っぷち、後ろに下がれないだから前に進むしかなかった。不況感が蔓延している今でも、私はすこしも悲観していません。どんなときでも次の一手を準備してきた経験があるからです。
最後に、自分自身の今までを振り返ると、私にかかわってくれた友人知人、諸先輩の方々、家族、そして我が同志である社員の皆、全ての人に「ありがとう」と言いたいです。
これからも、会社と共に成長していくことで、将来は、CMはもちろんのこと、直接、世の中の人々を当社の商品やキャラクターたちが元気づけていく、そんな会社になりたいですね。
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