オーガニックコットンを日本で始めて事業化したのは渡邊さんとお聞きしていましたが?
はい、日本での先駆者でした。1990年当時はオーガニックという言葉が今ほど世の中に知られていませんでした。ましてオーガニックコットンのことなど殆んど知る人もいません。その中で、無農薬の有機栽培綿を輸入販売し、糸、生地から製品まで一貫した企画製造販売を行ってきました。 オーガニックコットンは新しいプロダクツでもあり、「人と環境に優しく」という理念が、この事業を反省を含めてやらなければいけないという思いにつながり、多くの企業の中に芽生えてくれたことは嬉しいことでした。 新しいことを始めるのは時間のかかることですし、私自身が繊維業界にいたわけではないので、すべて毎日毎日、毎分毎秒始めてのことばかり、学びの連続でここまできました。
オーガニックコットンの定義とは?
オーガニックコットンを含む繊維業界は、農業・工業・商業と3つの業を経ます。オーガニックコットンは、農業においては、無農薬、有機栽培により地球の汚染を無くすこと。遺伝子組み換えはやめる。化学肥料、除草剤、枯葉剤、殺虫剤をできるだけ使わないようにしようということです。農民に対する搾取、児童労働をやめようということもあります。 工業の部分では、基本的には土に戻るものを使うという基準をつくっています。その基準に基づいた製品づくりをし、そのでき上がった製品を認証する団体が、NPO法人日本オーガニックコットン協会(略称JOCA)です。JOCAでは、まずその製品が他の信用のおける機関で認証を受けた原綿を使用しているか、を確認します。そのうえで、原綿の加工工程に対する認証基準を設け、日本で生産される糸、生地、最終製品の認証を行っています。この認証マークを各商品につけることにより、消費者の皆さんに判断の基準としていただこうと思っています。世界的な基準も出来上がりました。Global Organic Textile Standard(GOTS)です。当社では、この綿でこの糸、この糸でこの生地、この生地でこの製品と、トレーサビリティをしっかりとつかみ、いつでも開示できるシステムを作っています。農業と工業、それらをどのように伝えるかという商業の部分においても、CO2削減をしながら、包材なども生分解性の高い素材を使うといったこともやっています。 オーガニックコットンとは、ひとことで言うと、農業、工業、商業において、人と環境に優しい、ダメージを与えない方法でつくられた商品ということになります。
オーガニックコットンというと、私は赤ちゃんや子どもの肌着をまず連想しますが、最近布おむつを使うことがなくなりました。これはとても残念なことだと思うのですが。
私は、きちんと理由を伝えられるものを作りたいといつも思っています。その代表格が「布おむつ」です。今は紙おむつが全盛ですが、私は娘を布のおむつで育てました。ですから布おむつの大切さを実感しています。港区の教育長さんがおっしゃった「紙おむつは鈍感な人間を作ります」という言葉は、紙おむつの弊害を端的に示しています。紙おむつで育った子どもは、おむつがとれる時期が3〜4歳であるのに対して、布のおむつで育った子どもは平均2歳でおむつがとれます。この差はとても大きいものです。経済的にも年間8万円以上違います。資源の問題もあります。パンツとおむつでは運動量にも差がでます。よく動けることで食欲も増し、よく食べることでしっかりとした身体が作られます。 また、お母さんがいつも赤ちゃんのお尻を気遣ってくれることで、お母さんの愛情をいつも感じることで子どもの心の安定も生まれます。紙おむつは言ってみれば、垂れ流し状態で、気持ちが悪いという感覚がありません。紙おむつの弊害は相当ありますね。たった2年間のことです。若いお母さんたちに頑張って欲しいと思っています
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